2016年09月25日 東京新聞


 『生前退位 こう考える』

 陛下に限った立法 違和感(新聞記事 PDF)



さいとう・つよし

1945年、横浜市生まれ。神奈
川大学第2法学部卒。同市職
員、市議、参院議員を経て、
2009年の衆院選に比例代表南
関東ブロックから旧民主党公認
で立候補して当選、1期を務め
た。11年9月〜12年12月、野田
内閣の官房副長官。

 野田政権当時の2012年10月、有識者へのヒアリングを踏まえて、天皇陛下のの公務負軽減や、女性宮家の創設など今後の皇室のあり方についての「論点整理」を公表しました。野田佳彦首相は、この件を重視していて、私も官房副長官として有識者の人選などにわりました。

 この時は女性皇族が結婚によって皇室を離れ、皇室の規模が縮小すれば、ご活動が困難になるという問題意識から議論が始まりました。バランスの取れた結論を出すことができ、宮内庁から政権に対する期待というものも感じました。

 論点整理はは同年12月に安倍政権が発足した時、菅義偉官房長官へ引き継いでいます。内容に民主党としての政治的な思惑は何もなかったし、受け取った安倍政権が生かしてくれるだろうとの思いはありました。だから、現政権の下で皇室に関する議論が進まなかったのは残念に思います。

 自民党は民主党政権よりもはるかに長く政権を担当しており皇室のことはよくご存じのはず。結果的に「失われた四年間」となってしまったのではないでしょうか。

 これかう有識者会議などで具体的な議論が進んでいくのでしょうが、皇室についてはさまざまな考え方があり、女性・女系天皇や女性宮家の問題にも触れると議論が拡散して成案を得られない可能性があります。

 天皇陛下のおお言葉が、生前退位に言及していることは明らかですし、今回はそれに絞った議論をするべきでしょう。菅官房長官が記者会見で発言しているのを聞けば、以前のような状況ではないと分かります。真摯に取り組んでくれると思います。

 政治が天皇にどのように向き合うべきなのかは非常に難しい問題です。今回のことも、おお言葉を受けて政治が動いている。それは厳格に考えればどうなのか、と指摘する学者もいると思いますが、天皇も人間でっり、人権は守られなければならない。今の憲法体系は人権をもとにしていますから、それに沿って対応していくべきでしょう。

 人間の老い方には個人差かあり、次世代へのバトンタッチのやり方にも違いが出てくるはずです。陛下個人だけのことではなく、次世代の天皇にも出てぐる問題だとしたら、ルールとしては憲法と皇室典範で定めるべきで、天皇陛下に限っての特別立法というのは違ううと感じます。

(聞き手・小松田健一)

女性宮家
 皇室典範の規定で。女性皇族は天皇・皇族以外の男性と結婚すると
皇室を離れる。野田政権は「論点整理」で、天皇の子と孫の「内親王」
に限り、女性皇族が結婚後に宮家を創設して皇室にとどまれるなどとし
た案を取りまとめた。しかし。公表後に政府が実施した意見公募では反
対意見が多数を占めた。